竹内芳郎著作集 第1巻
サルトル哲学序説 実存的自由の冒険
竹内芳郎著
[監修]鈴木道彦・海老坂武
[編集委員]池上聡一・鈴木一郎・福地俊夫
A5判上製函入 560頁 定価:本体6200円+税
今なお入門書としてよみ継がれる名著『サルトル哲学序説』、ニーチェ、ベルグソン、サルトルを通して生と偶然性の問題を探究し、他者との〈出会い〉を見出す『実存的自由の冒険』を収録。
私の1968年
鈴木道彦著
四六判上製 368頁 定価:本体2800円+税
1968年前後に発表された評論を一巻に収録。前年の羽田闘争にはじまり、金嬉老事件やパリに渡っての五月革命など、「68年」に起こった事件をめぐり執筆された文章を集めました。巻頭には書き下ろしの「私の1968年」を付しています。 プルーストの個人訳で名高い著者ですが、社会・政治的な評論のみを集約してみますと、あらためてその思想が浮き彫りになるのがわかります。「被抑圧者の暴力はつねに抑圧者の暴力でつくられたものであって、しかもなお暴力である以上、つねに挫折の契機をはらみ、またそれをはらみながらも、つねに挫折をのりこえてゆく可能性をもふくむものである」(本書より)とあるように、抵抗の暴力が避けることのできない挫折を見据え、その向こうに光明を見出そうとする著者の姿勢は、古びるどころか、今なお挑まねばならない課題として残されています。“暴力と挫折の弁証法”の思想が50年の時を貫いて問いかけてくるものを、多くの方が受けとめ、考えてくださることを願ってやみません。
余白の声
文学・サルトル・在日─鈴木道彦講演集
鈴木道彦著
四六判並製 224頁 定価:本体1800円+税
プルーストの研究家・翻訳家でありサルトリアンでもある、鈴木道彦氏の講演六編を収録。 ボルヘスと図書館の話に始まる講演は、専門のフランス文学、マラルメやヴェルレーヌ、ランボー、そしてプルーストからサルトルへと展開されます。文学のあるべき姿と作家の関係、作家のとるべき態度と社会の関係が語られ、読者はやがて、それら二つの関係が交差するアンガージュマン文学の成り立ちへと導かれるでしょう。 「なぜフランス文学の泰斗が、在日問題を?」との疑問に応える、“余白を埋める"一冊でもあります。
討論 野望と実践
竹内芳郎編著
A5判上製 1160頁 定価:本体4500円+税
自らの戦争体験とサルトル哲学を基礎に、戦後天皇制下の民主主義を徹底批判、その欺瞞を剔抉する。“真理探究の場としての〈討論〉こそ真の民主主義を実現する必須の回路”と位置付け、論客達と繰り広げる議論の饗宴──思考のポリフォニーを華開かせた、10年に亘る討論記録をここに一挙刊行!
2刷出来!
読者からのお便りより、一部ご紹介
・……近年の書店の人文書売り場に吐き気を催していた身としては、久方ぶりに、思想書らしい思想書に出合えたように感じます。(東京都)
・……〈仲良しクラブ〉の現状が、この右傾化の中でますますヒドクなっていることに危惧をしていました。こういう討論民主主義が根づくために活用していきたいと思います。(富山県、61歳、新聞配達員)
・竹内先生の著作はほとんど手にいれ、熟読したつもりでしたが、ここ10年ほどは全く読み返しておりませんでした。今日の著作をよみ、あらためてその重要性、変わらぬ先進性に思いいたり、これから読みかえすつもりです。(神奈川県、53歳、教員)
思考の表裏
ポォル・ヴァレリイ/アンドレ・ブルトン、ポォル・エリュアル著
堀口大學訳
A5変形版上製 96頁 定価:本体2800円+税
“書物は人間と同じ敵を持つ。曰く、火・湿気・虫・時間。そうしてそれ自らの内容。”[ヴァレリイ]
“書物は人間と同じ友を持つ。曰く、火・湿気・虫・時間。そうしてそれ自らの内容。”[ブルトン/エリュアル]
──挑発的な言語遊技か、典雅なる知略の決闘か……1920年代、パリ。象徴主義の泰斗と超現実主義の領袖が、思考とレトリックの極北で相まみえる。両者の著作から、知の旅人・堀口大學が華麗に紡ぎ出すベル・レトルの精髄!
紀伊國屋書店“ピクベス2013”24位!
近年でいちばん心を鷲掴みにされた輝かしい装丁。ラメでスクエアなフォルムが最高に素敵、可愛くて仕方ない。しかも中身がヴァレリーだなんて...!天は二物を与えたもうたな一冊。(紀伊國屋書店ピクウィック・クラブ)
ニーチェ入門
生を肯定する哲学
ハヴロック・エリス著/山本規雄訳
四六判上製 168頁 定価:本体2800円+税
19世紀末、孤高の哲学者ニーチェの思想はにわかに流行の兆しを見せていました。イギリスでは進取の性心理学者エリスがいちはやく紹介。その秀逸な思想案内は、同時代の熱気を湛えながら今なお光芒を放っています。A・ビアズリーらが主宰する伝説の雑誌『SAVOY』での連載を、瀟洒な造本に載せて、気鋭の訳者がお届けします。
「まっさらな」ニーチェ、有名どころの思想が皆無のニーチェは逆に随分新鮮な印象も与える。……むしろニーチェを知悉し一家言をもつ人々にこそ、繙いてもらいたい一巻である。(須藤訓任 図書新聞 2010年8月28日)
サイエンス・ブックレヴュー
科学技術は倫理を語りうるか
猪野修治著
四六判上製 256頁 定価:本体2800円+税
湘南科学史懇話会の主宰者による、痛快書評集。会に招いた斯界の泰斗・碩学との交流を通じて培った批評眼で、現代科学の社会性や倫理性を鋭く問います。読み込んだのは自然科学書を中心にした53冊。繰り広げられる言説の中にテクノロジーの素顔を見出し、非人間化に警鐘を鳴らす一方で、未来への一歩を踏み出す勇気にエールを送ります。
本書で挙げられた著作を読めば、科学と人間というテーマについての理解を深める一助になるだろう。(久間木聡 東京新聞 2011年5月1日)
まるで3.11を予期していたかのようだ。……世界との向き合い方について、なんらかのヒントが得られるに違いないと思えてくる。これこそが書評の仕事だろう。(永江朗 Meets Regional No.276)
日本民謡における拍の伸び縮みと
聴取に関する研究
松本晴子著
A5判上製 216頁 定価:本体4800円+税
楽曲の時間的構造は美と感動を司るのか。
教育科目の中でも情操教育に大きな役割を担う音楽科。そのカリキュラムに一石を投じるべく、生徒が民謡を聴いてどう感じるのか、聴取印象の評価を数値化し、統計的に解析します。楽曲の拍が心理にもたらす影響を探査した野心的研究書。